「PHP=レガシー」と言われて久しい今、Laravelは日本でも世界でも現役バリバリのフレームワーク。 とりあえず動く、けど意外と拡張も効く。でも「PHPだから」と選ばれないこともしばしば。
この記事では、「何を作りたいか」という視点から、Laravelと他の代表的フレームワークを目的別に比較し、 適材適所の選択を考えるためのヒントをまとめます。
技術選定に役に立ったら幸いです。
PHPの現在
「レガシー」「動的型」「なんとなく古い」
PHPにはどうしてもこんなイメージがつきまとう。
でも、冷静に見れば今でも使う理由はちゃんと残っている。
静的型付けっぽいこともできる時代
PHPは動的型ですが、phpstanやPsalmのような静的解析ツールを導入することで、
型チェックやコーディング規約の徹底がかなり現実的にできるようになりました。
もちろん、型そのものが言語レベルで守ってくれるわけではないけど、
「型定義できない」「プリミティブが貧弱」という課題は、
値オブジェクトや独自のDTO(Data Transfer Object)を用意することで十分対応できる。
PHPの地味な強さと今どきの現場適性
- 情報・知見が圧倒的に多い
- たいていの問題はググれば日本語記事・フォーラムで何かしら見つかる
- LaravelをはじめとしたモダンFWの登場で、今も進化中
- 型補助・属性・enum・readonlyなど、「ちゃんと新機能も追える」
- 「枯れている」ことは悪じゃない
- 長く動き続けるプロダクト=意外とPHPばかり
- 人材調達がしやすい
- 学習コストが低く、歴史も長いので、現場にとっつきやすい人が多い
- コミュニティ活発・エコシステム豊富
- サードパーティ製ライブラリ、公式パッケージ、学習教材も充実
技術選定は目的比較で行う方が幸せ
- フレームワーク選びは宗教戦争ではなく、目的との相性の話
- 「何を最優先したいか」=初期開発の速さ? 保守性? 拡張性? パフォーマンス? チーム体制?
- どれだけ有名なフレームワークでも、使いどころを間違えると地獄になる
- 筋の通った技術選定をチームで合意できるのが一番!
フレームワーク比較表(目的別)
目的 | 適したフレームワークや言語 | 補足 | Laravelとの比較 |
---|---|---|---|
初期構築の速さを重視 | Laravel / Rails | scaffoldやCLIが充実。画面付きWebアプリを即作れる | ◎ Laravelはこの分野で無双。即納期の要件なら最強 |
API中心で構築したい | FastAPI / NestJS / AdonisJS | 軽量で設計明快。APIサーバー特化 | ◯ Laravelでも十分可能だが、「API専用」感はやや弱い |
設計パターンに明確な制約がほしい | Symfony / Spring Boot | フレームワーク自体が設計を“強制” | △ Laravelは自由なので“野良設計”になりがち。良くも悪くも自分次第 |
自由度を重視したい | Go / Node.js | フレームワークが過干渉しない | ◯ Laravelはそこそこ自由。ただ「型」はなく“枠”は用意される |
静的型や性能を優先したい | Rust / Kotlin | 型安全・高パフォーマンス | × Laravel/PHPはこの観点は弱い。重いAPIやバッチ処理はやや不利 |

どのフレームワークも、その子なりの個性があって素敵だよね〜。
シーン別・Laravelが「光る/曇る」瞬間
🙆 Laravelが真価を発揮するシーン
- 社内ツールや業務システム(中小規模)
- 要件がよく変わる
- 開発人数が少ない、もしくは新人も入る
- 「とにかく画面を生やす」「爆速で試す」が正義
- プロトタイピングや受託案件
- コストとスピード重視、品質は後追いで調整
- WordPressや既存PHP資産との連携が必要な場合
- 既存環境との親和性を取るならLaravelが便利
🙅 Laravelでは辛いシーン
- 超大規模・マイクロサービス群
- チームごとに厳密な設計と責務分離が必要
- 仕様のカタを求める場合は、SymfonyやSpringなどの型が強いFWが向く
- 厳密な型安全・パフォーマンスが生命線
- リアルタイム系・並列処理・重たいAPIサーバー
- Rust, Go, Kotlinなどの型が守ってくれる世界のほうがストレスない
Laravelを選ぶ/選ばない、その基準
- 「納期優先」「PoCや試作」「少人数チーム」ならLaravelで即決しても困らない
- 「長期保守」「組織での標準化」「型・設計の厳格さが必要」なら、もっと重いフレームワークを検討
- 「とりあえずLaravelで始めて、詰まったら他を検討」も現場ではよくある選択肢
よくある誤解
- Laravelは設計思想が薄い?
- 実は薄いのではなく、選べる幅が広い
- 「MVC」「サービス層」「リポジトリパターン」など、必要なら設計ガチ勢にも寄せられる
- ただし、現場では大半が「最短ルート」で組まれるため、結果的に“設計思想が薄く見える”現象が起きる
おわりに:目的と現場にフィットする選択を
「Laravelが万能」も「〇〇のほうが正義」も、すべて自分の現場と目的次第。
大切なのは、「今、この案件で何を優先したいのか?」を素直に考えること。
Laravelは柔軟に、速く作りたい現場の最適解になりえる可能性がある。
とにかく大事なのは筋の通った選択をすること、そしてそれをチームで合意できることです。
FAQ
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Laravelは大規模開発に向いていない?
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今参画してるプロジェクトではLaravelを使ってますが、それより向いているフレームワークがあるとは感じてます。
中〜大規模や長期保守を意識するなら、もう少し設計制約や型安全が強いフレームワークも検討する価値は十分あります。
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PHPに未来はある?Laravel選ぶのって時代遅れ?
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PHPは流行ったものや足りないものを取り入れようとする意思は感じるのと、Laravelという良いフレームワークがあるので将来性がないとは感じません。
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API開発だけなら他のFWのほうがいい?
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APIだけやるには無駄な機能が多いのは確かです。Nest.jsとかの方が開発体験は良いと思いますが、Laravelでもできます。
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Laravelはテスト書きづらい?
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Laravelはテストコードも公式にサポートされていて、PHPUnitやPestと親和性が高いです。
ただ、Controllerに全部処理書いたりするとテストがしづらくなるのでテストしやすくなるような設計をすることは大事です。
Controllerの処理はUsecaseに書いて、Eloquent利用する処理は、Repositoryに閉じ込めたり工夫するとやりやすくなります。
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Laravelは学習コストが低いって本当?
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導入と基本的なCRUD処理はとても簡単で、「動くものを素早く作る」体験は抜群です。
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Laravelはパフォーマンス面で不利?
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速度でいえばGoやRustに及びませんが、EloquentでN+1出さなければ、困るくらい遅いと感じることは今のところないです。
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Laravelのバージョンアップ、大変?
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LTS(長期サポート)版や定期アップグレードを意識すれば特別大変という印象はないです。
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